時間泥棒のメタファー

童話モモに出てくる時間泥棒のメタファーってなんだろう。何かひとつというわけではなくて、現代社会特有のいろいろなものを凝縮して、1つのメタファーとしているのだろうけど、一昔前の役人やサラリーマンを思い出させる。

モモに出ている灰色の人達は、上部組織の意思のために一生懸命ノルマを達成して、人間たちを忙しくし、そこから時間を奪い取り自分たちの貯蓄とするのだ。時間の貯蓄がなくなると、灰色の人達は時間でできているから、自分たちの存在まで消されてしまう。時間の貯蓄がだんだんなくなってきて、最後には灰色の人達の間で時間の取り合いをするのがとても興味深い。

何よりも灰色の人達は、自分の生命を存続させるための自由意思がない。一昔前の風刺として、大人になって読んでも、興味深い。